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【火星特有の砂塵嵐や夜間の長時間暗闇でも継続的な電力供給確保が可能】
人工衛星開発プロジェクトが「第33回衛星設計コンテスト」で奨励賞を受賞。
火星探査用ハイブリッド型発電システムの提案で

2026/1/16 NEW

金沢工業大学 夢考房 人工衛星開発プロジェクトが、2025年11月22日に開催された「第33回衛星設計コンテスト」最終審査会において、「火星探査用ハイブリッド型発電システム ― 太陽光?風力併用型電源システムの検討」を発表し、奨励賞を受賞しました。

【ミッションの背景】

火星探査では、太陽光発電を主電源とする探査機が広く採用されています。しかし、火星特有の砂塵嵐や夜間の長時間暗闇により、ソーラーパネルの発電効率が大きく低下し、電力不足が深刻な課題となっています。

過去の事例では、NASAの探査機「Spirit」や「Opportunity」が、砂塵の堆積や全球規模のダストストームによって発電量が著しく減少し、最終的にミッション終了に至ったことが報告されています。

さらに、火星では昼夜の温度差が極端で、夜間は-100℃以下に達することもあり、探査機の「生存」には電力供給が不可欠です。従来の補助電源であるRTG(放射性同位体熱電気転換器)は安定性に優れるものの、発電効率の低さ、放射性物質の供給制約、製造コストの高さなどの課題があります。

こうした背景から、太陽光に依存しない持続可能な電力供給手段の確立が、今後の火星探査や有人探査に向けて急務となっています。

【ミッションの目的】

本プロジェクトは、火星表面に着陸するランダーにソーラーパネルと小型風力タービンを組み合わせたハイブリッド型発電システムを搭載し、

?夜間や砂塵嵐時にも継続的な電力供給を確保すること

?太陽光発電の高出力を活かしつつ、風力エネルギーを回収?活用する技術の有効性を実証すること

を目的としています。

特に、火星の低レイノルズ数環境でも安定稼働可能なサボニウス型風車を採用し、着陸候補地「メデューサ?フォッサエ層」での風速分布解析や、風力発電量の見積もりを行いました。実験では、火星環境を模擬した条件下で風車性能を評価し、夜間やダストストーム時に探査機の最低限の生存電力を確保できる可能性を示しました。

着陸候補地の「メデューサ?フォッサエ層」は特異な地質構造を持つ堆積層。<br class="hidden-sp">過去の火山活動に由来する堆積物や地下に水氷が存在する可能性が指摘されている

衛星の模型

【受賞の意義】

この提案は、火星探査における電力供給の安定化と多様化に向けた新しいアプローチであり、将来的な有人探査や長期ミッションにおける持続可能なエネルギーインフラ構築に貢献するものとして高く評価されました。

【金沢工業大学夢考房人工衛星開発プロジェクト発表メンバー】

写真左から、高橋杏門さん(機械工学科2年)、潮崎陽希さん(航空宇宙工学科2年)、 森聖磨さん (航空宇宙工学科2年)、片桐啓登さん (ロボティクス学科2年)

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衛星設計コンテスト WEBサイト

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